2024.06.02

英語のSEO対策——グローバル市場獲得に向けた8ステップ

TAMLO

なぜ英語のSEO対策が重要なのか

昨今のグローバル化の波は企業活動にも大きな影響を与えています。市場が成熟化した日本に比べ、新興国を中心に海外市場には大きな成長機会があるためです。2024年は円安効果もあり、製造業界では海外市場における売上アップにさらなる期待が寄せられます。旅行業界に目を向けると、海外からの観光客の数はうなぎ上りで伸びています。こうした状況下で、日本企業が海外進出するための最大の障壁となるのが「言語の壁」です。そこで自社ウェブサイトの英語化は必須の対応策となります。

しかし、単に英語コンテンツを作るだけでは、海外の潜在顧客に訪問してもらえるとは限りません。そこで重要になるのが、検索エンジンの力を借りた"英語のSEO対策"です。適切なSEO施策により、自社コンテンツが検索上位に表示されれば、新規顧客の取り込みが期待できます。

以下、押さえておくべき8つのステップについて見ていきましょう。

<参考>「コンテンツ戦略」についての詳細記事

海外市場で成功する英語のコンテンツマーケティング

Step 1 - 現状分析とKPI設定

英語サイトがすでにある場合は、Google AnalyticsやSearch Consoleなどのデータ分析ツールを活用し、現状を徹底的に把握する必要があります。訪問データや流入経路、滞在時間など、様々な指標を分析することで、日本語サイトの分析からは見えてこない、海外ユーザー特有の検索動向や嗜好が見えてくるでしょう。例えば日本のECサイトでは「安い」「人気」といった一般的な単語がキーワードとしてよく使われますが、欧米市場では「authentic(本物の)」「sustainable(持続可能な)」といった、より高次の価値を重視したキーワードが多用される傾向にあります。

一方で新規サイトの場合は、営業部門からの市場インサイトや、Amazonの口コミ分析、主要競合サイトの調査などから、ターゲットユーザーの潜在的なニーズを探り出す必要があります。現地の消費者トレンドを把握することも重要です。例えば近年の欧米では、ベーカリー製品へのグルテンフリー・ニーズが高まっているため、そうした特性を捉えたコンテンツ施策が有効でしょう。

こうした現状分析を踏まえ、最初に明確なKPIを設定しましょう。セッション数増加なのかコンバージョン率向上なのか、目的によってアプローチが変わってきます。電子書籍販売サイトであれば書籍販売件数増加、BtoBサイトであれば問い合わせ獲得などが考えられます。

<参考>「英語のSEOの準備』についての詳細記事

英語のSEO施策を始める前に——準備と現状分析

Step 2 - 的確なキーワード選定

キーワード選定は英語SEOの肝です。Search Consoleの検索クエリ一覧、Googleキーワードプランナー、Googleトレンドなどの定番ツールに加え、関係部署を交えたワークショップでの検索ワードストーミングも効果的です。この際、日本語で考えたワードをそのまま英語に置き換えるのではなく、英語の文脈で自然な表現になるよう注意が必要です。例えば「家族旅行の予約」は"family vacation booking"ではなく"family holiday reservations"の方が自然です。

さらに英語特化型SEOツールを組み合わせることで、より幅広く、的確なキーワードを収集できます。また、キーワードの種類として一般的なカテゴリ(例:"旅行")だけでなく、ロングテールのキーフレーズ(例:「子連れ旅行でホテル選びのコツ」)にも注目が必要です。ロングテールは、検索ボリュームが少なくとも、より具体的な検索ニーズをカバーできるためです。

<参考>「英語のSEOキーワード」についての詳細記事

英語のSEO施策で鍵となる、キーワードの抽出方法

Step 3 - ペルソナ設計

英語は確かに世界共通語ですが、実際のニーズや表現の仕方は、英語圏内でも地域によって大きく異なります。例えば、ミレニアル世代のアメリカ人は"awesome"、"cool"といったカジュアルな表現が好まれる一方、英国のビジネスパーソンには"outstanding"、"exceptional" といった、より丁寧な表現が適しています。このように、米国人、英国人、シンガポール人、インド人など、どの国や地域をターゲットとするかによって、設計するペルソナが変わってきます。

したがって、関係部門との綿密な打ち合わせを行い、対象地域の収入水準、平均年齢、文化的背景などを踏まえて、2〜3つの具体的なペルソナを作成することが重要です。例えば「29歳・年収5万ドル前後の米国人ミレニアル女性」など、できる限り詳細なペルソナ設定を心がけましょう。

<参考>「英語のSEOとペルソナ設定」についての詳細記事

英語のSEO対策で意識したい「ペルソナ」の設計

Step 4 - 競合分析とインテント分析

選定したキーワードで実際にGoogle検索を行い、検索結果上位に表示されているページを徹底的に分析します。ページのクオリティ、ストラクチャー、使用されているキーワードの密度など、Googleが上位に評価した理由を分析します。さらに重要なのは、そのページがユーザーのどのような"検索インテント(意図)"に応えているかを見抜くことです。例えば「パリ旅行プラン」で検索した場合、モデルコースを紹介する記事なのか、予約サイトなのか、インバウンド向けの観光ガイドなのかで、インテントは大きく異なります。

こうした分析には、バイリンガルまたは英語ネイティブのマーケターが関与することが不可欠です。言語感覚に加え、現地の文脈や背景事情に精通していないと適切な分析ができません。さらに最新のアップデートにも注意が必要です。Googleは2022年8月に"Helpful Content Update"と呼ばれるアップデートを実施し、ユーザー第一のコンテンツを重視するようになりました。このようにアルゴリズムの変更があれば、インテントの解釈も変わってくるためです。

<参考>「英語のSEOとインテント分析」についての詳細記事

英語のSEO 競合のインテントを分析する

Step 5 - 的確なコンテンツプランニング

競合分析とインテント分析の結果を踏まえ、競合とは違う独自の切り口を持ったコンテンツを企画します。企画の際は、単に検索インテントに合致しているだけでなく、ユーザーにとって本当に"役立つ"内容か、熟考が必要です。過剰なSEO対策で読みづらいコンテンツになっては本末転倒です。むしろ、ユーザーの"つまずき"や"ペインポイント"に焦点を当て、それを解決できるような本質的に価値あるコンテンツを心がけましょう。

場合によってはキーワード自体の見直しも必要かもしれません。例えば、競合が多くの一般キーワードで既に飽和状態にあれば、ロングテールフレーズに切り替えて、ニッチなインテントを詳細に拾いあげる方が賢明です。

また、ターゲット地域の文化的素養に合わせて、コンテンツのフォーマット(記事型、インタビューQ&A型、解説動画など)も最適なものを選択する必要があります。内容が素晴らしくてもフォーマットが受け入れられないと、ユーザーに価値を届けられません。例えば、動画が人気の国ではYouTubeチャンネルを整備し、記事と動画でコンテンツを発信することが有効です。

Step 6 - 質の高い制作と適切なリソース配置

企画に基づき、実際のコンテンツ制作を行います。制作は英語ネイティブのライターが行いますが、現地の事情に精通したバイリンガル編集者が、ネイティブの言語感覚を無理なく反映するようサポートします。編集者は、日本的な発想ではなく、現地の視点から指示を出せるよう、適切にリソースを配置する必要があります。

ライターへの指示では、キーワードの自然な散りばめや、ページ構造の設計、目次の組み立てなども重要な役割となります。機械的な対応ではなく、人間の言語感覚を大切にすることが肝心です。場合によっては、英語のSEO専門家や現地代理店の力を借りるのも賢明な選択となります。

Step 7 - 定期的な改善とリライト

コンテンツを公開したら終わりではありません。定期的にデータ分析を行い、改善の余地がないかを検証する必要があります。Google Analyticsで行動フロー、直帰率、滞在時間、コンバージョン率などを分析し、Search Consoleで検索順位の変動を追跡します。分析結果から、どのページが改善の必要性があるかが見えてくるはずです。

また、季節の変化や新しい製品・サービスのリリース、ユーザーニーズの変化などに合わせて、コンテンツのリライト、リフレッシュを行うことが不可欠です。例えば旅行業界であれば、年末年始や春休みなどの時期にあわせ、リゾート地の特集記事を改訂・強化する必要があります。このようにPDCAサイクルを確実に回し続けることが、SEO効果を最大化する鍵となります。

<参考>「英語のSEOコンテンツのリライト」についての詳細記事

英語のSEO施策とコンテンツのリライト

Step 8 - 多様化する英語表現への対応

英語と一口に言っても、その表現の仕方は地域によって大きく異なります。シンプルで平易な英語、カジュアルでスラング的な英語、ビジネス英語など、様々なバリエーションが存在します。ターゲットとする層に合わせて、どの種類の表現を使うべきかを常に意識する必要があります。

例えば、若者向けコンテンツでは"awesome"、"super cool"といった新しいスラング表現を取り入れた方がより自然です。一方、ビジネス向けでは"outstanding"、"exceptional"といった、より堅い表現が適しています。このように、単に英語で書けばよいわけではなく、ターゲット層の好みに合わせた用語選びが大切になります。

加えて新しい言葉やネット用語なども次々と生まれてくるため、最新のトレンドを追いかける柔軟性も求められます。定期的に表現のブラッシュアップを行い、陳腐化を防ぐ必要があります。言語は常に変化し続けているため、それに追従できる体制を整えることが重要になります。

海外進出を成功させる

英語のSEOは、単に英語への対応だけでなく、言語に付随する文化的・地理的な違いへの細やかな配慮が不可欠です。日本国内向けのSEO対策とはアプローチを大きく変える必要があり、英語運用に精通したリソースや専門ツールの活用が求められます。しかし、PDCAサイクルを着実に回しながら継続的に改善を重ねることで、必ず成果が現れてくるはずです。

グローバル市場に向けたプレゼンス確立の近道は、ユーザーの視点に立った適切な施策を怠らないことにあります。単に英語化するだけでは不十分で、現地のニーズを的確にとらえた上で施策を立案・実行することが何より大切です。また、言語が変化し続けることを前提に、柔軟な対応を心がける姿勢も欠かせません。根気強く取り組むことが、グローバル市場攻略への礎となるでしょう。

TAMLOでは、日本企業の皆さまに向け、SEOを含めた英語のコンテンツマーケティングをサポートしています。コンタクトフォームよりお気軽にお問合せください。

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