2024.06.03

英語のSEO施策で鍵となる、キーワードの抽出方法

Yuichi Ishino

キーワード探偵になれ! 英語SEOの肝となるキーワード選定術

英語のSEO施策において、最も重要な要素は的確なキーワード選定といっても過言ではありません。なぜなら、キーワードこそが、ターゲットユーザーの検索ニーズそのものを表しているからです。検索者が実際にGoogleの検索窓に入力したクエリ(質問キーワード)を徹底的に洗い出すことで初めて、彼らの本当のニーズを掴むことができるのです。

検索者の"つぶやき"を拾い上げる作業は、まさに探偵の手探り捜査のようなものです。現場から些細な手がかりを見逃さず集め、その一つ一つから事件(ニーズ)の全体像をつかみ取っていく。そうした姿勢でキーワードを掘り起こすことが重要なのです。ただし、この作業に近道はありません。様々な手法を組み合わせながら、地道かつ熱心に実践していく必要があります。

伝統の利く定番ツール群の活用

キーワード選定の手始めとして、まずはSearch Consoleの検索クエリデータから徹底的に分析していきましょう。Search Consoleには、サイトにアクセスした際の実際の検索クエリが記録されています。特に英語キーワードは想像を絶する表現が多いため、このデータはたいへん参考になります。

例えば海外ドラマのファンサイトの場合、"season X episode Y streaming"といったクエリが出てくるかもしれません。このような具体的な表現は、日本人マーケターでは想像しづらいはずです。このように、Search Consoleに出てくるキーワードそのものから、新たな気づきを得ることができます。

次に活用したいのが、Googleキーワードプランナーです。これは一般的なキーワードの月間検索ボリューム、広告費用目安などが分かるツールです。特に英語キーワードではロングテールフレーズが意外なポテンシャルを持っていることが多いため、この分析は重要になります。

例えば「キッチン 収納術」というキーワードでは数万ものロングテールバリエーションがあることが分かります。そこで、トラフィックとコストを見比べながら、的を絞ったロングテールの活用を検討するというわけです。

またGoogleトレンドも有用で、最新のキーワードトレンドを追うことができます。"Zero waste kitchen"といったサステナブルなトピックスが最近急上昇しているといった情報が入手できます。

ワークショップとバーチャルホワイトボードで多角的な視点を取り入れる

Googleのツール群を使いこなすことはキーワード選定の基本ですが、人間のクリエイティブな視点を取り入れることも重要不可欠です。そこで効果的なのがワークショップとバーチャルホワイトボードの活用です。なお、TAMLOではMiroをよく使っています。

まずはマーケティング部門をはじめ、関係者全員を集め、集中したブレインストーミングの時間を設けましょう。実際のユーザー体験を肌で感じている営業部門や、専門知識を持つ技術者など、様々な立場の人間からユニークな発想が生まれるかもしれません。例えば、関連製品の具体的な説明キーワードや、特殊な業界用語などといったニッチ分野の洞察が期待できます。

またバーチャルホワイトボードを使えば、遠隔の参加者も含めてリアルタイムでキーワードをまとめられます。視覚的にキーワードを整理しながら、カテゴリ分けやグルーピングを行えるため、ブレインストーミングの生産性が格段に高まります。さらに、作業の記録を簡単に保存でき、後からレビューすることもできます。

海外のユニークなツールを使う

さらなる洞察のためには、海外発の専門ツールの活用も忘れずにしていきましょう。代表的なのがanswerthepublic.comで、質問形式のキーワードを網羅的に提案してくれるサービスです。完全無料ではありませんが、一定の範囲内で試用はできます。

キーワードの入力ウィンドウに"damaged hair"と打ち込むと、「ダメージヘアはいつカットすべきか」「ダメージヘアにはどんなコンディショナーがいいか」など、5W1Hにそくした質問形式のキーワード群が視覚的に出力されます。これをヒントに、ユーザーの潜在的な疑問を読み解くことができるのです。

さらにこのツールは、「can/will〜?」といった助動詞に対応したクエリ候補も提示します。「ダメージヘアは伸ばせるか?」「ダメージヘアは治るか?」といった、検索者の本音に迫る表現を見つけられるかもしれません。

answer the republic

編集者やライターの感性を最大限に活用する

ツールで自動生成されたキーワードは参考にはなりますが、最終的には人間の言語感覚に基づく選別が肝心です。機械が生成したキーワードには、時として不自然なものや変な片言単語が含まれていることもあるためです。

この人間の感性を最大限に活かすため、バイリンガルもしくは英語ネイティブの編集者やライターを起用することをお勧めします。言語に精通した人間ならば、検索者の立場に立ってキーワードの自然さを判断できるはずです。

また文化的な違いにも目を向ける必要があります。例えば「料理 男性」というキーワードで考えてみましょう。一般的に日本人はこれを「男性が料理を作ること」と捉えるかもしれません。しかし、欧米人の検索インテントとしては、「男性に人気の料理」といった食の趣味嗜好的な見方をする可能性もあります。このように、言語の違いだけでなく、文化の違いにも留意しながらキーワードを吟味する必要があるのです。

継続が大切なキーワード選定作業

キーワード選定は一過性の作業ではなく、継続して実践していくことが何より大切です。ユーザーのニーズや検索トレンドは常に変化を続けており、最新の動向を追う努力が不可欠になってくるからです。

例えば旅行業界でいえば、コロナ禍によってニーズが大きく変わりました。従来人気だった海外リゾートよりも、国内の自然体験やアウトドアレジャーへの関心が高まったでしょう。このようにトピックトレンドの変化に合わせて、キーワードの洗い出しを継続的に行う必要があります。

また、既存のキーワードについても、定期的に改善を重ねていく姿勢が大切です。実際のサイトデータを分析し、コンバージョンや検索順位に対する貢献度を確認しながら、キーワードの切り捨てや置き換えを検討します。キーワードリストは常に最新のものでなくてはなりません。

このように、キーワード選定作業を単発の施策ではなく、PDCAサイクルの一部として捉え、絶え間なく見直しと改善を重ねていくことが成功の鍵といえるでしょう。

バイリンガル/ネイティブのマーケターと協力してキーワード選定力を高める

最後に、キーワード選定の質を高めるための重要なポイントを述べます。それは、バイリンガルまたは英語ネイティブのマーケターと協力し、コミュニケーションを密にすることです。

言語感覚に加え、ネイティブマーケターならば現地の文化や生活習慣、価値観にも精通しているはずです。こうした背景も踏まえた上で、適切なキーワード選定を行うことが可能になります。

一方で日本人マーケターには、現地の事情を理解する上で盲点が出がちです。例えば先ほどの「料理 男性」の例のように、検索者の発想そのものを看過してしまう可能性があるわけです。

こうした誤りを防ぐには、ネイティブとの対話を通じてキーワードを見直し、言語と文化の両面からブラッシュアップを重ねていく必要があります。ネイティブからの気づきや提案を活用しながら、お互いに切磋琢磨してキーワード選定力を高めていけるはずです。

もちろん、全ての作業工程にネイティブを関与させるのは現実的ではありません。そこで重要になるのが、一つのプロジェクトにつきキーワード選定の段階で必ずネイティブとの確認作業を設けること。これにより、最終的な精度を大きく高めることができるでしょう。

キーワード選定は、英語SEOの全ての施策に影響を与える非常に重要な工程です。様々な手法と専門家の力を適切に組み合わせながら、ユーザーニーズにマッチしたキーワードを選び抜く作業を怠らずに続けていきましょう。そうすることで、高いSEO効果が得られるはずです。

<参考>「英語のSEO」についての完全網羅記事

英語のSEO対策——グローバル市場獲得に向けた8ステップ

Writer

Yuichi Ishino

Managing Director

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