2020.09.13

日本企業のイギリス進出 デジタルマーケティングのリサーチ方法

Yuichi Ishino

日英FTA(自由貿易協定)の締結と期待

2020年9月11日に日英間のFTA(自由貿易協定)の大筋合意が発表されました。関税の優遇や規制の撤廃などにより、各領域での貿易活性化に期待が寄せられます。2018年の日英貿易総額は290億ポンド(約4兆円)。 今回の日英FTAにより、長期的に両国間の貿易額はさらに152億ポンド(約2兆円) 以上伸びると試算されています。

 

参考: TAMLOの公式ポッドキャスト「RADIO TAMLO」にて、日英FTAの要諦をさらに詳しく解説しています。

 

さて、この日英FTAですが、2021年1月からの発効が予定されています。これを期にイギリス進出を検討を考える日本の企業は少なくないはず。この記事では、そうした企業の皆様に向けて、英国進出前に抑えておきたいリサーチのポイントをデジタルマーケティングの観点から解説します。

 

英国市場の調査(リサーチ)

ウェブサイトやソーシャルプラットフォーム、インターネット広告などを活用し、コンテンツを通してローカル(英国)の顧客とタッチポイントを作るのは海外進出時のマーケティングのセオリーとも言えます。

 

しかし、やみくもにコンテンツを作ったところでターゲットとする顧客に届くわけではありません。まずは主に以下の点を丁寧に洗い出す必要があります。

・どのような競合がいるか(マーケット調査・競合調査)

・日本市場と同じ属性のターゲットでいいか(ターゲットの再検討)

・どのようなキーワードが使われているか(ハッシュタグや検索クエリの精査)

・どのような記事、画像または動画のエンゲージメントが高いか

 

では、以上をどのようにして調査するのでしょうか。私たちTAMLOでは、以下4つの手法を採用しています。

 

①ソーシャルリスニング

②クエリ分析

③オンラインサーベイ/ユーザーインタビュー

④クライアントとのワークショップ

 

そのそれぞれについて詳しく見ていきましょう。

 

ソーシャルリスニング

ソーシャルリスニングとは、ソーシャルメディア上で毎日行われている大量の投稿データを収集し、分析する調査手法を指します。ツイッター、インスタグラム、ブログ、ニュース、フォーラムなどそれぞれのチャネルでキーワードを設定。そのキーワードを手掛かりに、オンラインでユーザーがどのように、トピックを見つけ、ブランドを語り、トレンドを生み出し、コンテンツを消費しているかを把握します。TAMLOでは、英国発AI搭載の最新ソーシャルリスニングをツールを利用し、英国での投稿データを分析しています。

 

参考: TAMLOがロンドンで行った「日本酒」に関するソーシャルリスニングの簡易レポート(一部抜粋)。詳細が知りたい方はコンタクトからお気軽にお問い合わせください。

 

クエリ分析

すでに英語でのウェブサイトをお持ちの場合は、Search Console(サーチコンソール)のデータを共有いただき、クエリの分析を行います。さらにGoogle Analitycs(グーグルアナリティクス)のデータと付き合わせ、キーワードの季節ごとの傾向も見ていきます。ここでターゲットクエリをリスト化。競合の検索ランクも同時進行で調査し、最適なSEOコンテンツのプランニングを行います。ローカルの競合を知ることで、ある程度、イギリス特有のターゲットの傾向が見えてきます。なお、英語のウェブサイトをお持ちでない場合は、TAMLOで仮の戦略を作り、フロムスクラッチで基礎づくりのお手伝いをします。

 

オンラインサーベイ/ユーザーインタビュー

TAMLOでは、上述のソーシャルリスニングから特定キーワードにまつわるイギリスのインフルエンサーを抽出します。その多くは、プロダクトやサービスに対して関心が高いであろうインフルエンサーたちです。彼らに対してサンプルを提供し、評価してもらったり、インタビューを通して感想を聞いたりします。こうしたフィードバックから、日本とは違ったインサイトを得られることがほとんどです。

 

クライアントとのワークショップ

意外と思われるかもしれませんが、お客様の社内の意見をお聞きすることも非常に大事な市場調査です。マーケティングのご担当者だけでなく、現地の営業ご担当者、プロダクトやサービスの開発者を交えてワークショップを行います。そこから、データには表れない現地ニーズや、訴求商品の強みが炙り出されます。これらをもとにデータを見つめ直すことで、最適なデジタルマーケティング戦略が立てられるのです。

 

イギリス進出を成功させるために

以上、4つのメソッドを紹介してきましたが、これらの全てを実行しなければいけない、というわけではありません。もちろん、それが可能であればベターですが、目的や予算によって調査方法も臨機応変に変えるべきだと思います。TAMLOは目的と予算に応じて最適なメソッドを選択、ご提案します。

 

イギリス進出を検討されていて、リサーチにお悩みの場合はぜひ弊社までお気軽にお問い合わせください。ロンドンと東京の2拠点にオフィスを置く強みを活かし、皆様をサポートさせていただきます。

 

*自由貿易協定についての数字や具体的な内容については英国政府発行の「UK-Japan free trade agreement: the UK's strategic approach」を参考にしています。

Writer

Yuichi Ishino

Managing Director

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