2025.05.20

AIには再現できない、“意味をつくる力”──TAMLOが定義する17のコンテンツマーケティングスキル

Yuichi Ishino

AIでは届かない“意味”をつくる

ChatGPTをはじめとする生成AIの進化によって、コピーや記事のたたき台を“作る”ことは、かつてないほど簡単になりました。構成案や翻訳、キャッチコピーの候補も、ほんの数秒で出力されます。

けれども、文脈を読み、意味を設計し、相手の感情に届くコンテンツを生み出すことは、いまもなお人間の力に依存しています。むしろ、情報の大量生産が可能になった今こそ、「何を、どう伝えるか」ではなく、「なぜそう伝えるか」が問われる時代になっています。

TAMLOは、日英バイリンガルでの制作やローカライズを手がけるだけでなく、グローバルとローカルをつなぐ“コミュニケーションの専門家”として、コンテンツの設計そのものに関わるマーケティングパートナーであることを目指してきました。

その中で私たちは、一見見えにくいが、本質的な価値を生み出す「17の力」を日々のプロジェクトを通じて育て、体系化しています。本記事では、その全容をご紹介します。

文脈力:言葉の背景を読み解く力

Context(文脈)

人の発言や行動、その選択の“背景”を読み取る力。たとえば、日本では「便利さ」より「安心感」が重視される場面が多々あります。こうした価値観の違いを見落とすと、どれほど優れた商品や情報でも、届かなくなります。

関連施策: 市場インサイト分析 / カスタマージャーニー設計

Local Knowledge(地域知)

その土地の慣習、媒体特性、行動様式に根ざした判断力。たとえば、日本ではLINE広告やYahoo!ニュースが強いことは、マーケターであれば誰もが知る感覚ですが、海外チームには伝わりづらい“文脈”です。

関連施策: チャネル戦略(例:LINE, Yahoo!) / 地域特化型コンテンツ

Cultural Intelligence(文化的知性)

異なる文化背景を理解し、橋渡しする力。グローバルメッセージを、日本向けに違和感なく届けるためには、単なる翻訳ではなく、文化の深層にある感情や価値観への洞察が必要です。

関連施策: グローバルメッセージのローカライズ / トランスクリエーション

意味設計力:伝え方の“設計図”を描く力

Narrative(ナラティブ)

単なる製品スペックではなく、「なぜこれを作ったのか」という背景を伝える力。ストーリーとしての設計があれば、ブランドの一貫性や共感も自然に高まります。

関連施策: ブランドストーリーテリング / LP構成設計 / 記事構成案

Framing(枠組み)

同じ内容でも、切り取り方や枠のつけ方で受け取り方は変わります。「コスト削減」より「業務効率化」と表現するほうが前向きに響く──それがフレーミングの力です。

関連施策: ポジショニング設計 / メッセージアーキテクチャ

Interpretation(解釈)

グローバル本社のコピーやビジュアルを、日本市場に適した形に“再構築”する力。直訳ではなく、意図をくみ取り再設計する「意味の翻訳力」が求められます。

関連施策: グローバルコピーの再編集 / コンテンツの文化翻訳

共感力:一方通行ではない“共鳴”を生む力

Empathy(共感)

受け手の気持ちに寄り添い、導入の不安や疑問に対してストーリーで応える力。感情に届く設計ができるかどうかが、コンテンツの響き方を左右します。

関連施策: ペルソナ設計 / 導入事例インタビュー / ストーリーベースの訴求

Dialogue(対話)

相手と共に“意味”をつくりあげる姿勢。たとえば、ワークショップで顧客の声を引き出しながら戦略を設計するプロセスも、TAMLOが重視する対話のかたちです。

関連施策: ワークショップ設計 / ステークホルダーインタビュー

Perspective-taking(視点の転換)

異なる立場で物事をとらえ直す力。たとえば「なぜ日本では決裁に時間がかかるのか?」を海外チームに説明できる視点も、グローバル案件では重要です。

関連施策: 海外チームへの提案資料設計 / “なぜ日本では〜”の論理構築

判断力:限られた資源の中で最適を見極める力

Trade-off(トレードオフ)

あれもこれも伝えたい中で、「伝えないことを決める」力。すべてを盛り込むよりも、“3つの強み”に絞るほうが伝わる──これが判断力の本質です。

関連施策: 製品訴求の絞り込み / セグメント戦略

Prioritisation(優先順位設計)

ページやコンテンツの中で、どこに注力すべきかを見極める力。LPで注力製品だけを目立たせるといった判断もこれにあたります。

関連施策: LPやブログの導線設計 / CTA最適化

Calibration(調整力)

本社の意向と日本市場の現実、その両方に折り合いをつけて最適な形に調整する力。調整は妥協ではなく、価値を最大化する知的作業です。

関連施策: グローバルHQと日本支社の意向調整 / プロダクト表現の両立設計

倫理観:コンテンツの“責任”と“信頼”を守る力

Ethics(倫理)

社会課題への配慮なくプロモーションを展開すれば、企業の信頼は一瞬で損なわれます。“正しさ”を問い続ける姿勢は、時代を超えて必要です。

関連施策: センシティブ領域の表現ガイドライン設計(医療・セキュリティなど)

Responsibility(責任)

医療や金融など、誤解が重大な結果を招く領域では、誤解されない表現・情報設計が最も重要になります。

関連施策: 誤解を招かないコピー設計 / 情報の正確性チェック

Publicness(公共性)

企業の発信が、自社の利益にとどまらず、業界全体や社会に貢献する視点を持っているか。公共性を帯びたコンテンツは信頼を生みます。

関連施策: 業界全体に資するホワイトペーパー / 教育的コンテンツ企画

適応力:変化を前提に進化し続ける力

Meta-cognition(メタ認知)

自分の思考の癖や限界に気づく力。「わかったつもりになっていないか」を問い直す姿勢は、知的な柔軟性の土台です。

関連施策: 編集レビュー基準の内省 / ナレッジ共有設計

Co-creation(共創)

クライアントやチームと“共につくる”姿勢。仕様が決まってから受注するのではなく、最初から一緒に設計していく柔軟性が重要です。

関連施策: クライアントと共同でのキャンペーン設計 / プロトタイピング

Adaptive Capacity(適応力)

環境の変化に応じて、自らも組織も進化させる力。生成AIの登場もそのひとつであり、TAMLOもその変化に合わせて表現手法やワークフローを柔軟に見直し続けています。

関連施策: 生成AIの導入支援 / ワークフローの柔軟化設計

翻訳を超えた、意味をつなぐ専門家

情報があふれ、AIがコピーを量産する時代にあって、TAMLOはあえて「意味」を丁寧に扱うチームでありたいと考えています。

市場や文化の文脈を読み、相手の感情に届くように設計し、コンテンツに“生きた意味”を与えること──それはツールでは置き換えられない、人間ならではの仕事です。

TAMLOの「17の力」は、複雑な文脈を読み解き、“意味”として再設計する知的な技術です。コンテンツを通じて、グローバルな視座で本質的な価値を届けたい企業の皆様へ──戦略設計から制作までのご相談を、いつでもお待ちしております。

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なお、TAMLOでは生成AI時代に対応したコンテンツ制作にも取り組んでいます。
ご関心のある方は、ぜひブログ「AIに検索されるコンテンツとは──TAMLOが考えるAIO最適化」もご覧ください。

Writer

Yuichi Ishino

Managing Director

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