2024.01.29

<日英拠点のエージェンシーが実践>リモートワークの課題を克服する方法

TAMLO

コロナ禍をきっかけに、リモートワークは従来の労働スタイルに革新をもたらし、地理的制約を軽減しました。この変化により、スタッフはどこからでも働くことが可能となり、これまで出会う機会のなかった人々との共同作業が実現しました。企業にとっても経費の削減というメリットがあり、世界中の多様な才能へのアクセスが容易になっています。さらに、リモートワークは個人の利便性を向上させるだけでなく、柔軟性があり、強いレジリエンスを持った企業文化を育むことにも貢献しています。

東京とロンドンに拠点を持ち、グローバルに企業のデジタルマーケティングをサポートするコンテンツマーケティングエージェンシー・TAMLOはリモートワークのノウハウを深く理解しています。当社のコンサルタント、James Lovellは次のように語ります。「人によって好みは様々ですよね。人と会ったりオフィスに行くのが好きな人もいれば、そうでない人もいます。でも、リモートワークを取り入れることで、日々の生活でより多くの時間を他の大切なことに使えるようになります。TAMLOメンバーはこのスタイルを上手く活かして働いています!」

一方で、ビジネスの世界ではリモートワークについてまだ議論が続いていることも、私たちは理解しています。リモート勤務の導入により収益が増加したと報告する企業もあれば、在宅勤務の方針を撤回するところも見られます。これは、新しい試みにはそれなりの課題や乗り越えるべきハードルが存在するためだと考えられます。

TAMLOは新型コロナウイルスのパンデミックが始まるずっと前から、リモート主体のビジネスとしてスタートしました。スタート当初のメンバーは2人だけ。当時、オフィスを構える選択肢はなく、東京とロンドンでリモートチームを少しずつ構築してきました。しかし、リモートワークを採用している他の多くの企業と同様に、TAMLOも様々な課題に直面しました。これからは、そうした課題への私たちの対応策をご紹介します。

リモートワークにおける課題と解決方法

1. 孤立とデジタル・デバイド

「私たちは、リモートワークで孤独や孤立感を覚える人がいることに気を配っています。特に新人の若手スタッフが加わる際は、この点を重視しています」と、Jamesは語ります。「私自身も社会人になったばかりの頃は、他の人たちとの交流を望んでいましたから」。

TAMLOチームは東京とロンドンに拠点を持っているものの、固定されたオフィスは持たず、指定されたコワーキングスペースで業務を行っています。メンバー同士が直接顔を合わせるのは容易ではありませんが、私たちは可能な限りその機会を作るよう努めています。

「東京チームも、ロンドンチームも、それぞれ週1回の定例ミーティングを設けています」とChief Localisation OfficerであるAramaki Nanakoは語ります。

TAMLOが大切にしているのは、柔軟性を保つこと。「厳密なスケジュールはありません」とNanakoは続けます。「毎回メンバーの都合に合わせて日程を調整し、ミーティングへの参加も強制ではありません。しかし、メンバー全員が出席できるように努力しています。同じ部屋に集まり、一緒に仕事をすることから生まれるプラス効果を、私たち全員が認識しているからです」。

2. 時差

多様なバックグラウンドを持つメンバーが集まるTAMLOは、言語や文化の課題だけでなく、時差の壁も乗り越えてきました。これについては「世界の仲間とどう働くか - 言語・文化・時差のギャップを埋める方法」という記事で詳しく説明しています。具体的には、メールの送信時間に関するルール、カレンダー共有、スーパーフレックスタイム制による勤務時間が、時差を乗り越えるために役立っています。

3. 人間関係の欠如

直接顔を合わせての会話や、休憩時間に同僚とのふとした交流が、活気あるビジネス環境を作り出します。リモートワークでは、オンラインミーティングやインスタントメッセージのプラットフォームを通じたコミュニケーションはありますが、こうした小さながらも重要なチームワークを育む瞬間が失われがちです。

勤務の際、メンバーは自分のアバターを仮想オフィスに表示させます。アバターを動かして会議室に入るなどのアクションを取ったり、サインを出して忙しいことを伝えることも可能です。このようにして、バーチャル空間内でもメンバー間で自然な会話が生まれるように工夫しています。

oViceがそれぞれの状況を可視化してくれるのは、とても助かります」とNanakoは付け加えます。「特に新しいメンバーは、他の同僚が忙しいかどうかがわからず、Slackでメッセージを送ることを躊躇してしまうことがあります。ヴァーチャルオフィスでは各メンバーの状況が気軽に確認できるのでコミュニケーションが円滑に進

「oViceがそれぞれの状況を可視化してくれるのは、とても助かります」とNanakoは付け加えます。「特に新しいメンバーは、他の同僚が忙しいかどうかがわからず、Slackでメッセージを送ることを躊躇してしまうことがあります。ヴァーチャルオフィスでは各メンバーの状況が気軽に確認できるのでコミュニケーションが円滑に進みます」。

「このほか、TAMLOではオンラインホワイトボード『Miro』も使っています。これはクリエイティブのブレインストーミングなどに役立ちます」とJames は語ります。「相手とオンラインで話しながら、Miroでクリエイティブ・キャンペーンのアイデアを出し合い、議論を進めます」。

4. 最新ツール導入後の予期せぬ課題

便利な最新ツールによってリモートワークの多くの課題が解決されたとはいえ、新たに予期しない課題に直面する可能性もあります。

「私たちは主にSlackでコミュニケーションを取っていました」とNanakoは語ります。「しかし、テキストベースのため、特に日本語では語調が誤解されやすく、コミュニケーションのミスが生じやすいことが分かりました。そのため、フィードバックを含む特定の会話では、相手に直接話すことで皆が同意しました」

5. セキュリティ

リモートワークを取り入れることで、サイバー脅威やデータ漏洩のリスクは残念ながら高まります。スタッフが油断するわけではありませんが、もし安全でないネットワークや信頼できないデバイスをうっかり使用すれば、企業の機密データが危険にさらされることになります。

そこで、TAMLOでは強固なセキュリティ対策を行い、メンバーへの厳しいルールを設けています。

「例えば、ホテルを含む公共のWi-Fiは一切使いません」とNanakoは説明します。「メンバーは定期的にセキュリティ調査を受け、問題がないかチェックします。これが一人ひとりのセキュリティ意識の向上にもつながっています」

6. スタッフへの信頼と生産性

新たにハイブリッド・ワークを導入する企業では、スタッフへの不信感が依然として存在しているようです。ヨーロッパでの調査によると、ビジネスの意思決定者の65%が「オフィス外で働くスタッフを信頼していない」と答えています。さらに、一部の企業では監視ソフトウェアが採用され始めています。

設立以来フルリモートワークを実践しているTAMLOにおいては、「信頼」はリモートワークにおける課題にはなりえません。

「正直に言うと、メンバーが仕事をしていないかどうかを心配することはありません。いつもとても忙しいので!」とナナコは笑いながら言います。

Jamesも同意し、こう付け加えます。「マネージャー陣が仕事を割り振り、メンバーたちが決められた時間内にこなしてくれれば、それで十分です」。

「しかし、信頼関係は様々な面で重要なポイントです」とナナコは説明します。「特に新しいメンバーを迎える場合、最初に信頼関係を築くことが大切です。これは組織のためだけでなく、新しいメンバーのためにも重要なことです。私たちが望むのは、全員がお互いをよく理解し、一人一人の特長を知り、それぞれのメンバーとどのように最も効果的に仕事をするかを学び、お互いを信頼し合うことです。私たちにとっては、すぐに信頼関係を築くことが重要なのです。日本でもリモートワークが基本ですが、新メンバーとは少なくとも週に2回は直接会うようにしています」

7. サポートし合う環境づくり

あらゆる企業において、サポートに重点を置いたリーダーシップは、従業員の幸福感、仕事の満足度、そして全体的な生産性の向上に大きく寄与します。リモートビジネスでは、サポートする環境を提供することの重要性がさらに高まります。この範囲は職務に限定されず、マネージャーはリモート環境で発生する可能性のある個人的な課題を理解し、それに対応する必要があります。

「TAMLOはまだ若く、成長過程にあります」とNanakoは説明します。「最初の頃、新しいメンバーへのサポートや研修が不十分だった可能性があります。また、スタートアップという状況のため、多くを期待できなかったかもしれません。しかし、私たちは当初のミスコミュニケーションから学び、効果的な方法論を築き上げてきました」

「サポートは今、私たちの核となる価値観です」とJamesは言います。「Nanako、代表のYuichi、私自身も、この理念を可能な限り実践しています。新しいメンバーを迎えた際、各自が私たちの人間性や文化を理解することが非常に重要だと認識しています。私たちがどのような人物で、どんな価値観を持っているのかを知ることが、新メンバーの判断に大きな影響を与えます。同僚が忙しい中でも、気軽に質問ができる環境が整っています。これは、私たちがサポートを重視していることを彼らが理解しているからこそ実現できているのです」

結局のところ、どんな新しい働き方も新たな課題を生み出します。変化には、必要に迫られて仕方なく応じる場合もあれば、イノベーションを促進するために変化を積極的に受け入れる場合もあります。どちらのアプローチを取るかは、状況や目指す目標によって異なるはずです。重要となるのは順応性です。どのように適応していくかが鍵を握る。TAMLOではこの順応性を大切にしています。

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