2024.05.05

日本のDX事情とiPaaS(海外iPaaSベンダーが日本進出を成功させる方法)

Yuichi Ishino

デジタル化の遅れで潜在需要が高まる日本市場

経済産業省の調査で、国内企業の6割以上がDXの遅れを懸念していることが露呈した通り、この課題を解決するソリューションには大きな潜在需要が見込まれています。その一つがiPaaSです。iPaaSは、日本の企業がクラウド化を推進し、業務改革を実現するための強力なツールとなるでしょう。これは海外のベンダーにとって大きなビジネスチャンスです。以下に、日本市場でiPaaSが成功を収められる6つの理由をご紹介します。

1. デジタル化への追い風 

日本のDX(デジタルトランスフォーメーション)の遅れが指摘されています。「世界デジタル競争力ランキング2023」(IMD)によると、日本のデジタル競争力は全64ヶ国中32位でした。iPaaSはこうした企業のギャップを埋める最適なソリューションとなり得ます。

2. 人手不足への対応 

少子高齢化が進行する日本では、生産年齢人口の減少に伴う深刻な人手不足に直面しています。2023年の有効求人倍率は1.29倍と高水準(厚生労働省)で、生産性向上が急務とされています。iPaaSによる業務自動化は、この課題を解決する有力な選択肢となります。

3. レガシーシステムの課題 

日本企業のクラウド利用率は22%(2021年)と低迷している一方、投資意欲が拡大しているとの調査があります(Gartner)。iPaaSによるシステム統合で業務効率化を実現すれば、余剰リソースをイノベーション創出に振り分けることが可能になります。日本企業は古いレガシーシステムを多数抱えており、これらの統合や移行が不可欠です。

4. グローバル展開の加速 

海外に多くの拠点を持つ日本企業では、国を跨いだシームレスなシステム連携が求められています。iPaaSはそうしたグローバル対応を可能にします。日本のデジタル競争力が低迷する一方、海外法人を持つ日本企業の数は25,000社を超え(経済産業省)、グローバルサプライチェーン管理における情報連携の課題が指摘されています。iPaaSによるデータ統合は、リアルタイムでの最適な意思決定を可能にし、競争力強化につながります。

5. 先進技術とのシナジー 

日本ではRPA/AIなどの自動化技術の導入が進んでいます。iPaaSはこれらの技術と組み合わせることで、より高い業務自動化効果を発揮することができます。

6. リモートワークの推進

コロナ禍を機にテレワーク導入企業が増加しましたが、実際にフルリモートを実現できた企業は多くありません。iPaaSを活用したハイブリッド環境の構築により、柔軟で安全なリモートアクセスを実現と、業務の効率化が期待されます。

このように、日本市場には決してiPaaSベンダーが見逃せない魅力的な事業機会が存在しています。課題認識とソリューション両面で強みを持つベンダーであれば、日本での大きな活躍が期待できるでしょう。

日本におけるiPaaS企業のコンテンツマーケティング

海外のiPaaS企業が日本で成功を収めるためには、製品やサービスそのものの優れた機能以上に、マーケティングにおける確かなローカライズ対応が重要になります。日本の企業文化やビジネス習慣には独自の特性があり、それを無視したアプローチでは、いくら優れた技術や価値提案であっても、なかなか獲得に至りません。

そこで求められるのが、製品の技術的側面と日本市場の特性を熟知したうえでの、戦略的かつ徹底したコンテンツマーケティングのローカライズです。具体的には、以下の点に留意する必要があります。

1. プロダクト技術を理解したローカルエージェンシーを探す

iPaaSのようなハイテク製品は、技術用語が多用されがちです。単なる言語翻訳では適切な内容説明ができません。そこで欠かせないのが、製品の技術的な側面に精通したうえで、日本語によるわかりやすい解説が可能なローカルマーケティング会社との協業です。

業界用語や技術概念を、読者層に合わせてストーリー化し、丁寧に噛み砕いて説明することが重要になります。加えて、日本の企業文化や市場特性を熟知し、それらを反映したコンテンツ制作が求められます。

2. カスターマージャーニーの違いを知る

日本市場では、デモリクエストよりも資料ダウンロードを好む傾向があり、マーケティングプロセスの設計を見直す必要があります。また、SNSの利用動向や、オフラインイベントへの関心度合いなどの地域差にも注意が必要です。

ローカルのマーケターと緊密に連携し、日本人ユーザーの行動特性を把握したうえで、確実に問い合わせにつながるコンテンツマーケティング戦略を立案することが不可欠です。

3. 成功事例の共有

信頼構築のためには、具体的な製品の活用事例を示すことが有効です。国内外を問わず、他のお客様がどのようにiPaaSを利用し、どのようなメリットを享受しているかを分かりやすく事例として提示します。実際の成果を確認できることで、潜在顧客の製品への理解と興味が高まり、導入の後押しにもなります。

4. 効果的なオンライン広告の実施

オンライン広告を駆使し、潜在顧客への確実なリーチを図ることも重要です。特に参入当初はGoogle広告やYahoo!プロモーション広告など、日本で主要なプラットフォームを組み合わせた広告活動が推奨されます。これにより、最初の数ヶ月でオーディエンスのデータを収集し、その後の広告戦略を最適化していくことができます。

こうした丁寧なローカライズ対応なくしては、日本市場での浸透は望めません。海外デジタル企業が日本に根付くための鍵は、マーケティングにおけるきめ細かい現地対応にあるといえるでしょう。

外資企業によるDX支援への期待

日本政府が掲げるデジタル庁設置などのDX施策にも示されるように、日本におけるデジタル化の遅れは大きな課題です。海外のデジタル先進企業による最新の知見や実践ノウハウへの需要が高まっています。日本が抱えるデジタル遅れの課題を打開するため、単なる製品の導入支援に留まらず、外資デジタル企業による日本企業への積極的な働きかけと、実践的なDXソリューション提供が強く求められています。

TAMLOではiPaaSのコンテンツマーケティングの支援実績が多数あります。お気軽にお問合せください。

Writer

Yuichi Ishino

Managing Director

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