2026年、日本B2B市場は「文化」と「AI」で再編される
新常識は“意思決定構造の変革”にある
ふと、一昔前のことを考える瞬間があります。Facebookが日本で使われ始めたのが、もう20年近く前。iPhoneが手のひらに収まり、世界の見え方が変わり始めたのも、ほぼ同じ時期でした。
当時のソーシャルメディアは、まだ若い人たちの遊び場のような存在で、企業が真正面から活用するなんてほとんど想像されていなかった。検索だっていまほど生活に溶け込んでおらず、口コミは人づて、買い物はリアル店舗が中心。いまのように情報が溢れて、行動がオンラインから始まる世界とはまったく別物でした。
あれからまだ20年しか経っていないのに、私たちはもう別の文明に生きているようです。
スマホが生活の基盤となり、SNSは企業活動の生命線となり、消費も購買も意思決定もオンラインを起点に動くようになった。情報量も意思決定のスピードも、人の期待値も、劇的に変わりました。そして2026年を前にした今、また同じ空気があります。 「ここから世界がもう一段階変わる」──そんな確かな予感です。
AIは「業務効率化ツール」から、静かに「意思決定プロセスの一部」へ
これまでもAIは、レポート生成やメール下書きなど、業務効率化の場面で活用されてきました。
2026年も、劇的な断絶が起こるというよりは、こうした活用がさらに“地続きに”拡張されていきます。
その中で見えてきているのは、AIが意思決定に関わる情報整理や根拠提示など、判断の前段階を支える役割へと静かに広がっているという流れです。私たちが複数の企業とご一緒する中でも、次のような場面が確実に増えてきています。
- 過去データや類似パターンに基づき、施策の方向性を整理する
- 商談前の顧客情報を確実に集約し、担当者の理解を助ける
- キャンペーン結果の変化をリアルタイムで捉え、検討すべきポイントを可視化する
- 社内の意思決定で必要とされる“背景説明”を補助する
決して、AIが人間の判断を置き換えるわけではありません。むしろ、判断そのものを「より整った状態」にするための下支えとして組み込まれ始めている、というのが現実に近い姿です。
この変化に伴い、私たちTAMLOの役割も、少しずつ変わりつつあります。AIを万能視するのではなく、人間の理解・判断を助ける基盤として、どこまで組み込むべきかを設計することが求められるようになりました。
- どの情報整理をAIに任せるべきか
- どの判断は人間が行うべきか
- その境界をどう設計すれば、組織として最適に動くのか
こうした“実務的なAIの扱い方”を、企業とともに検討し、マーケティングの中の意思決定プロセスの整備として支援しています。
ABMの進化:「ターゲット選定」から「意思決定の回路設計」へ
日本のB2B意思決定は、文化的に「複雑な合意形成」を前提としています。いわゆる根回しや稟議システムです。経営層、現場、IT、管理部門など、複数の立場・文化・懸念を持つ人々が絡み合い、予算獲得のための推進役の特定に苦労する──という課題は、多くの外資系企業が直面する構造的な壁です。
だからこそ、ABM(Account-Based Marketing)は単に「ターゲット企業を選ぶ」手法から、「企業内でいかに意思決定を動かすか、そのサイクル自体を設計する戦略」へと進化しています。
2026年のABMは、AIとデータにより、企業内で実際に動いている「意思決定の交渉ルート」を丸ごと可視化します。これにより、次の問いに高精度で答えられる、実行可能な仕組みとなります。
- 意思決定の各プロセスで「誰が」キーパーソンか
- そのキーパーソンを動かす「情報の種類と順序」は何か
- 合意形成を停滞させる「文化的な前提やボトルネック」はどこにあるのか
TAMLOは、HQ(グローバル)の戦略ロジックと、日本のローカル市場の意思決定ロジックが別物であることを深く理解しています。欧米企業で「当たり前」とされる判断軸やAPACのフレームワークは、日本の文化的文脈においては、そのまま機能しないことが大半です。
TAMLOが提供するのは、言葉をローカライズするだけの表面的な作業ではありません。言葉を置き換えても、日本市場で機能しない戦略は実行できないからです。
私たちは、文化文脈の橋渡しを通じて、HQの意図と日本固有の意思決定構造を直結させます。
- グローバル戦略を、日本の商習慣・文化的ロジックで確実に動く施策に再構成する
- HQの目標(KPI)と、日本の営業現場の「具体的な行動」をデータで連携させる
この「文化とロジックの橋渡し」こそが、外資企業が日本でABMを成功させるための決定的な鍵となります。
技術が進むほど「信頼性と透明性」が競争力になる
AIやデータ活用が加速するほど、企業は「より正確で速い判断」を求めます。しかし日本のB2Bでは、それ以上に重要なものがあります。それが「納得のプロセス」です。
日本企業の意思決定は、形式的な合意ではなく、役割と立場を超えた“相互理解”の蓄積によって前に進む構造になっています。
そのため、次の4つは単なるチェック項目ではなく、意思決定の前提条件そのものになります。
- 個人情報保護法に対する組織的な理解
- AIが行った判断の背景を、第三者に説明できるレベルの透明性
- データ活用の意図と根拠
- 他部門を動かすための“理論構造”と“物語”の両立
ここが欠けた瞬間、いかに優れた戦略でも“社内の説得材料”として機能せず、意思決定は止まります。
TAMLOは、施策に “説明可能性”と“物語性”の両方を持たせることを重視しています。
- なぜこの施策なのか
- 何を、どこまで、どのデータで裏付けたのか
- HQの意図を、日本側の事情とどう整合させたのか
- 現場は何をすればよいのか
- 部門をまたぐ説得に使う「根拠」と「語り」はどう作るのか
つまりTAMLOは、戦略だけでなく “合意形成が進むための情報設計” を担っています。これは、外資企業が日本市場で持続的に成果を出すための、見えにくいが決定的な競争力です。
おわりに──2026年に勝つ企業とは
2026年の勝者は、単にAIを導入した企業でも、データを多く持つ企業でもありません。
「文化を読み、技術を使い、意思決定を動かせる企業」です。この3つが揃って初めて、戦略は組織内で動き、顧客の中で動き、市場で動きます。
- 技術(AI)で思考と判断を整える
- データ分析で方向性を支える
- 人間性(信頼)で組織を前へ進める
- 文化文脈で合意形成の摩擦を取り除く
この4つをひとつの流れとして扱える企業が、2026年以降の日本B2B市場をリードしていくはずです。
TAMLOは、文化文脈と技術の両側面を理解し、 “意思決定が動く設計”をつくるパートナーとして、戦略から実行まで伴走します。
20年前、スマホやSNSが社会をどう変えるかを想像できた人は多くありませんでした。2026年もまた、同じように大きな変化の入り口に立っています。
ただひとつ確かなのは、文化と技術をつなぎ、意思決定を動かす力こそが、これからの企業の競争力になるということです。
その橋渡し役として、TAMLOは2026年、日本B2B市場の変革に真正面から向き合っていきます。